敵味方入り乱れる第拾壱話。今、信頼できる相手は誰なのか?
今回も感想を綴っていきましょう……と言いたいところですが、今回はちょっと期待していたところが映像化しなかったので、マイナスな物が多いかもしれません。
あらかじめご了承をば。
・悪い顔のさくらがカットされてしまった話
うーん、なんとなくそうなる気はしたんですけれど、やっぱりカットされてしまったかーこの部分、というお話。
原作では、冬の連絡要因と電話していたさくらに、雛菊さまが誰と電話していたのかを聞く部分までは共通。その後、狼星さま達が地位や保身しか頭にない連中のケツを蹴り上げて支援をもぎとっていること、そのあたり諸々をどうもさくらが承知済みで采配していたらしいことを説明し、お題目は揃ったので大手を振って歩けるし予算も増えました、宿泊しているホテル、ランクアップしますか?なんて悪代官みたいな笑顔を浮かべるさくらに、ついうろたえてしまう雛菊さま……というやり取りがあります。
ここ、アニメで見たかったんですよねぇ……今までのコミカル描写の雰囲気で味付けして見せてほしかったし、わるぅーい顔のさくらも見たかった。尺的にカットされてしまう予感はしていたんですが、まぁ予想通りでございました。残念。
・雛菊さまとさくらのやり取りもカットされてしまった件
雛菊さまがさくらに向けるセリフも一つ、好きだったものがカットされてしまって悲しい。
アニメでは、さくらの思い詰めたような顔の後に警報がなりましたが、原作だとこの直前は少し明るめな雰囲気で終わります。セリフの順番が変わってはいますが、雛菊さまが「おいで、ってしてあげたいの」と言った後、大切な人のために生きていくと決めた雛菊さまの姿に、さくらは少し救われたような気持ちになります。そう思えるほど元気になれた。それはさくらのおかげなのだから、と雛菊さまが言ってくれたからですね。
自分が御身の力になれていたのですね、と呟くさくらに、雛菊さまは、さくらがいなかったら今の自分はここにいない、それはさくらが一番わかっているでしょう?と返します。で、私の好きなやり取りはこの後。
雛菊様はいいます。千回、さくらが良いって言う?と。
返すさくらの言葉はこちら。これから一生お仕えするのだから、分割でお聞きします。
このやり取り、すっごい好きなんですよね……いつかあなたを守って死にたい、そう言っていたさくらが、明確に雛菊さまと一緒にずっと生きていくという気持ちに変わりつつあるといいますか。自分を絞め殺すような罪悪感が少しずつ解けようとしている最中で、それも含めた暗い感情をまだ手放すことはできずとも、それをしてもよい道が僅かでも見えるようになってきたのは、やはりこのタイミングなのだと思います。雛菊さまも、さくらに対してそういう道を指し示すだけで、そうしなさい、と言っているわけではないというのがまた良い。すぐにその道をいかなくてもいい、さくらがそうしたいと思うまで、自分はずっと待っている、と。
ある種の鏡合わせとでもいいますか、かつて戻ってきた雛菊さまに寄り添って、閉ざされた心を開いてもらえることを辛抱強く待ち続けたさくらの行いが、今度は雛菊さまから返ってきた形です。お互いに支え合って、二人で自立している春主従のあり方が、とてもよく表されているシーンだと思っています。
まぁ、とはいえ。アニメの中のさくらは、まだ過去に囚われた部分が色濃いままの状態です。なので、このやり取りは、もしかしたら違うタイミングで挟んでくるかも、とまだ期待できるものでありますし、少し様子見していましょうか。
・賊への文句合戦
ここもカットかー!とちょっと落胆気味。
瑠璃さまが賊への文句をぶちまけていましたが、原作ではここに竜胆が参加し、あやめさまも最初は抑え側でありつつも、最終的には本音がぽろぽろと……という具合に、各々の普段思っていることが出てきつつ、この三人の連帯感が強まっていく、という流れがありました。そんなに長いやり取りではないので、多少カットはありつつもやるだろうとは思ったんですが、まさか瑠璃さまが言うだけで終わってしまうとは……やはりやり取りとして見たかった……
というのも、このあたりのやり取りから始まり、この先の撫子さまを救出する流れを経て、夏のお二人から竜胆に対する信頼感がかなり強いものになっていくんですね。それこそお兄さんのように思うくらいには。その最初の一歩というか、変な遠慮だったり立場的な壁をとっぱらうきっかけであり、大事な積み重ねの一幕……と思っていたので、カットしちゃったのは残念ではあります。
賊、ぼこぼこにしたい、とか真顔でいう竜胆、だいぶ見たかったんですけどね。
・雛菊さまと凍蝶”お兄さま”
なんだか今回、三連続で文句ばかりになってしまいましたが、しかし。
ここはとても良い。このやり取りは本当に心に来ますね。
10年前のことを、まるで昨日のことのように心配し、身を案じる雛菊さまの姿はもちろんなんですが、注目してほしいのは凍蝶の方。
彼からすると、雛菊さまはあの時お守りできなかった少女であり、あろうことか守る側である自分が守られてしまったという咎の意識が強くあります。だから、雛菊さまの生存を喜び、お会いできる時を待ちながらも、彼が想像していた再会というのは、つまり謝罪の場であったわけです。何を言われても受け入れ、殴る蹴るをされても頭を下げ続け、ただあの時の罪に対する罰を受ける。そういうものだと想像していたんです。
けれど、実際、電話越しとはいえ、雛菊さまから最初にかけられた言葉は、こちらの身を案じる優しい言葉。あの時のことを許すとか、許さないとか、そういう話ですらそもそもない。そんなことを雛菊さまは欠片も思っていない。ただ、あの時、自分をかばって怪我をした優しい”お兄さま”を、昔と変わらず思って、心配している。心に置きとどめてくれている。
凍蝶にとって、今再び彼女から”お兄さま”と呼ばれることは、あまりに心苦しくて、しかしそれでもなお嬉しくて、それ故に痛みも伴うものでした。何においても完璧で、弱い姿を欠片も見せないこの男が、こんなにも簡単に崩れてしまうほどには。外していたサングラスをかけ直したのは、せめてもの取り繕いでした。サングラスの奥の瞳を描いていないのがニクいですね。
私が凍蝶をもっと好きになったシーンの一つ、見事な映像化に感謝です。
さてはて、今回は文句の多い感想になってしまいました。ちょっと反省。
話の大筋は全く問題ないんですが、今回書いた部分以外にも、一言二言の短いやり取りがあちこちカットされてしまっているのが悲しいですね。そういうところに関係性の積み重ねとか、心の動きが現れてくるというのがこの作品の好きなところのひとつなんですが、やはり、尺の問題は難しいところなんだろうなぁ、と悩ましい限りです。残念には思いつつも、まぁ仕方あるまいて、という。
その一方で、目まぐるしく変わりつつある状況のスピード感の表現はかなりのもの。
四季庁襲撃。長月の裏切り。そして冬陣営では、石原までも。いざ秋のために、と行動する代行者達に対して、華歳は恐ろしいほどの手際と影響力で襲いかかります。
果たして、反撃の糸口は……というか、これあと何話あるんです?13話だとしたら、あと2話で収めるつもりです?それとも月末までやってくれるなら、もう1話あったりします?
流石に後者であることを祈りつつ、また来週を待とうと思います。
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