春夏秋冬代行者春の舞、第陸話“還る場所”、見てきました。
今回の話で一つ、雛菊さまに関する大きな事実が明かされることになりました。ついにここまで、という感じです。
さっそく感想を綴っていきましょう。
・雛菊さまと“雛菊さま”
今回の重大な事実。
すなわち、今の雛菊さまは、かつての“雛菊さま”とは別人格である、ということ。同じ体の中にある二つの人格のそれぞれが同一人物であるかどうかという議論は大変難しい話になりそうなので割愛しますが、少なくとも、今の雛菊さまは、自分とかつての“雛菊さま”を、別人として捉えています。
OPやEDの映像で、雛菊さまが二人いるようなシーンがあったり、第一話で薺に対し、お母さんである紅梅さまから言われた『耐え忍び、戦機を待つ』という言葉を、知り合いのお母様に言われたこと、と言っていたのは、そういう理由があったわけです。
今の雛菊さまは、“雛菊さま”が誘拐され、囚われている8年の間に生まれ、育っていった人格であり、状況に耐えかね、耐え忍ぶことができなくなってしまった“雛菊さま”に変わって表に出てきました。“雛菊さま”はその際に消えてしまった、とのことで、今の体の中にある人格は、雛菊さまだけになります。
みんなのところに帰りたがっていた“雛菊”は死んでしまった。みんなが待っていた“雛菊”は決して返してあげられない。自分は、その代わりのまがい物でしかないのだから。そういう申し訳なさが、今の雛菊さまの心中にあるんですね。
・雛菊さまとさくら
さて、そんな雛菊さまですが、そもそも“雛菊さま”の帰還が望まれていなかった、死ぬのを待っていた、ということを知ってしまい、ならそうしてあげると、あらゆるものを拒絶して、自身もまた死を選ぼうとしていました。
そんな雛菊さまを繋ぎ止めたのが、さくらでした。
“春の代行者・花葉雛菊”ではなく、また亡くなってしまった“雛菊さま”でもなく。
今の雛菊さまを、最初に受け入れ、支えたのがさくらだった。
原作の話が混ざるので恐縮ですが、再開した雛菊さまに、帰っていいよ、と言われた時。浮かび上がった、雛菊さまを忘れて幸せに生きるさくらの姿。学校に通い、雛菊さま以外の友達を作り、遊んで、恋をして、結婚して、子供を授かって——という一瞬の空想。それを否定するさくらの描写が、凄く印象的で。
それは、主に対する裏切りだと。そんな考えを抱いた自分を、あらゆる手段で殺し尽くして。主への忠誠心を抱き続けた自分だけを残して、そうしてさくらは、今のさくらに続く自分を形作りました。この方の側にいる権利以外のものなんて、自分には不必要だと言わんばかりに。
それから、夏が来て。秋が来て。散々に傷つき果てて、身も心もバラバラに壊れてしまって、“ストライキ”をしていた雛菊さまを、ずっと側で治し続け、そして冬になり、一度は追い出されてしまったさくらを雛菊さまが追いかけて、そこから、二人は、雛菊さまとさくらは始まりました。
仲睦まじいのは、当然なのです。ともすれば依存し合っているような危うさがあるのも当たり前なのです。
だって、そうでないと、雛菊さまもさくらも生きられないから。
自分たちを傷つけるものしかない、この恐ろしい世界で、お互いの存在が唯一、立ち向かえる理由だから。
壊れてしまった自分の形を繋ぎ止める、たった一つのものだから。
そういう二人の関係性がたまらなく好きなんですが、その一方であまりに痛々しくて切なすぎて、なんか好きという表現をあまり使いたくない、でもやっぱり好きとしか表現しようがない……そんな感じで、私はいつも感情を持て余すような気持ちになってしまうのです。雛菊さま大好き過ぎるさくらの言動に笑い、さくらを愛おしむ雛菊さまの姿にほほえましい気持ちになり、その背景として裏打ちされた関係性を思い出して痛みで胸を抑える。アニメでのコミカルな描写も、ひとしきり笑ってから、あぁでも、この頃の二人はなぁ、って、スンっとなってしまう。そんなことを、実はずっと繰り返していたりします。
・観鈴・ヘンダーソンのCV
本編では声とシルエットだけでしたが、EDクレジットには名前出てましたので使っちゃいます。
観鈴・ヘンダーソン。冒頭で雛菊さま脅してやがった不届き女ですが、まぁ大体察しが付く通り、雛菊さまをさらっていきやがったグループの主犯がこの女になります。
まぁ声がつかない訳がないので誰になるかと思いきや……日笠陽子さんときましたよ。またとんでもなくドンピシャな人をお連れしたものです。
いやだって、第一声からわかったくらいですもん。エコー掛かってたのに、「あ、これ絶対観鈴さんや」って。それから、こっわ、って。声色の明るさと暗さのコントラストがえっぐい。
悪役に文句のつけようがないくらいのベテランを配置していくスタッフの容赦の無さにクラクラしそうです。この女の右腕として美上という野郎がいるんですが、その人もベテラン声優さんが担当するんでしょうか。実際のところ、一番声色が想像できていないキャラクターでもあるので、どんな声で話すのか、楽しみなような、怖いような。
次回、タイトルは「宵闇」とのこと。日が暮れて間もなく、月も出ていない夜の始まり。ちょっぴり空気としては不穏でしょうか。確か秋の季語でもあるはずなので、いよいよ、最後の一組、秋の代行者さまとその護衛官の出番となるのかも。
そして、四季の四組がすべてお目見えした時、過去を振り返り続けてきた物語は終わり、過去を清算するための物語が始まっていく——つまり、下巻の展開に踏み込んでいく、はずです。
そろそろガッツリ展開が動く予感。期待して待ちましょう。
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