春夏秋冬代行者 春の舞 第二話・名残雪によせて

さてはて。春夏秋冬代行者 春の舞、第二話・名残雪の公開と相成りました。
今回の主軸は冬主従、代行者の寒椿狼星さまと護衛官の寒月凍蝶。冬主従大好きなんですよね……
いろいろな背景説明との兼ね合いもあってか、原作の出来事を踏襲しつつ、構成は結構オリジナルな感じになっていた第二話、
視聴した感想と、ちょっとした解説というか注釈というか、ネタバレにならない範囲の補足をしていこうと思います。

・冬の代行者、寒椿狼星さまと、護衛官、寒月凍蝶

 まずは冬の主従について簡単にご紹介。
 代行者は寒椿狼星さま、その護衛官は寒月凍蝶。現役の大和の代行者では最も長くその役目を務めており、各々が代行者と護衛官の中では最年長、また主従揃って男性な唯一の季節です。春が不在の10年間は、彼らがその季節を冬で埋めていました。つまり、大和は夏と秋が三か月、冬が六か月の状態が続いていた、というわけです。

 狼星さまは、割と尊大な態度が目立つというか、居丈高な振る舞いをしていますが、これは季節の主である”冬”としてそうあれかし、と育てられた故のもの。繊細な心を持ちつつも、周囲への気遣いや責任感も持ち合わせており、”主”としての立ち振る舞いが大変板についています。また周囲その護衛官である凍蝶は、原作だと描写の大部分が誉め言葉になるような、まさに完成した男、というような人ですが、話し方や振る舞いには父性が滲み出る感じがまた素敵。寒椿の家は冬の里の名家であり、寒月家は寒椿に仕える者を輩出する家で、こちらも名家。ある意味では二人とも、今の立場にはなるべくしてなったようなものかもしれません。選んだのは神様ですし、それを本人たちが望んでいたかどうかは、また別の話ではありますが。

 そんな二人の関係性は、まぁやはり、兄弟というのが近いのでしょうか?男性同士ということもあってか、割と肉体言語も多め。凍蝶、主に向かって普通に頭突きしてましたしね。ほかにも、チョップとか腕十字固めとかアイアンクローとか、割と容赦なしです。春の舞ではそれほどですが、後の話では結構コミカルなところも見せてくれますよ。
 なので、さっぱりからっとしている……というように見えて、実際は雛菊さま&さくらペアと比べても遜色ないほど強い感情をお互いに抱いているのがぐっとくるところでもありますね。これもやはり代行者と護衛官の性なんでしょうか。ストレートに伝える凍蝶と、それをうざったくあしらうようで実際ちゃんと受け止め、確かな信頼を常に向けている狼星さま。主従と兄弟の関係性が絶妙にまじりあった感じがして、意外と他で見ないというか、ありそうでなかった関係性だと思っています。

・戦闘!冬主従!

 PVとか予告映像を見ながら思っていました。こんなシーン、原作には無かったぞ?と。
 車から春を眺めているシーンから始まり、高速道路での事故に対処して終わりだったはず……
 まぁそれはそれ、狼星さまと凍蝶の大立ち回り、いやはやかっこよい。ちょっと外連味が過ぎるというか、狼星さまの能力はともかく、凍蝶さまの動きはだいぶ人間やめてるな……なんて思いもしましたけれど。確かに、凍蝶の戦い方、寒月流はアクロバティックな体術も交えた統合剣術、とされていましたが、もうちょっと地に足付けた感じといいますか、派手にぶっ飛ばすというよりはもっと現実的な戦闘を想像していましたが、それはそれ。カッコいいのは大事。さくらも同じ流派ですので、後々彼女のかっこいいシーンが見れるはずです。楽しみですね。
 同時にもろもろの説明も流れていきましたから、そのあたりの要素を拾っていきましょう。

・”賊”ってなに?

 話の中でも何度か出てきました、”賊”という存在。
 これが何かといいますと、ざっくり、代行者さま方に危害を加えようとする者たち、と思っていただければ相違ないかと思います。
 季節を巡らせる代行者、さぞ多くの人から尊敬や崇拝を集めているのだろうと思うかもしれませんが、ところがどっこい。そういうわけでもないのです。
 その力を、もっと世のため人のために使えないのか。
 あるいは、特定の季節を良いものとし、ほかの季節を悪しきものとして排除したい。
 さらには、特定の季節に恨みを持つ、など。
 そういった理由で、代行者本人、あるいはその権能を狙っている組織がおり、それらをまとめて”賊”と称しているわけです。
 改革派、根絶派、という言葉も出てきましたが、こちらはあまり気にしなくてもよいかと思います。季節の力を顕現以外のことにも利用したいと考えるのが改革派、その季節を無くしてしまいたいと考えているのが根絶派、という認識があれば充分でしょう。どちらにしろ、代行者の方々に危害を加えようとしている存在であることに変わりはありませんからね。

 中でも冬は、狼星さま自身が仰っていた通り、賊の襲撃を受けやすいといわれています。冬の寒さは、その寒さそのものや、飢餓によって人の命を奪うこともあります。それを、代行者が冬を呼んだからそうなった、すべては冬の代行者のせいなのだと、恨みをぶつけられることが多いのだそうです。あるいは、神話の成り立ち故に、冬が季節の主として見られることも多いため、そういう意味でも季節がらみの恨み辛みを受けやすい立場であるといえるかもしれません。

 なお、なんか偉そうな人が”春も夏も勝手に動きやがって!”なんて言いながら机を叩いていましたが。あれもまた、代行者の複雑な立場を示しているといえましょう。
 代行者は、季節を顕現させるもの。それを現人神として尊く扱う人もいれば、そういうシステムの歯車として、あるいは管理されるべき機能として見ている人もいる、というわけですね。

・雛菊さま誘拐事件

 第二話にして早くも、”なぜ大和には10年間春がなかったのか”、すなわち”10年間、雛菊さまはなぜ行方不明だったのか”の答えが提示されました。
 劇中でも石原女史が資料を読んでいた通り、その答えは”誘拐されていたから”、ということになります。
 この経緯をざっくりまとめますと、以下の通り。

①雛菊さまとさくらが冬の里に来訪中、狼星さまを標的とした賊の襲撃に合う。
②追い詰められる中、自分が標的だとわかっていた狼星さまは自ら命を絶とうとする。
③雛菊さまが、狼星さまやさくら、凍蝶を守る形で力を行使し、自分が身代わりとして名乗り出る。 
④以降、雛菊さまの行方は知れず、10年が経過したのが作中時間。

 という感じ。これだけでも大事件ではありますが、問題はここから。

 代行者を誘拐された春の里。自分たちの代行者を攫われてしまったというのに、春の里はその捜索を、わずか三か月で打ち切ってしまいます。
 前回、代行者はどのようになるのか、という話をしたかと思います。代行者は神様によって選ばれる、前任の代行者が何らかの理由でその役目を果たせなくなったとき、次の代行者がすぐさま選ばれて能力を譲渡される、と。
 つまり春の里は、雛菊さまの命を諦め、次の代行者が選ばれることを待つことにしたわけです。幼い子供が賊に攫われた以上、早々に死に至り新たな代行者が生まれるはず。攫われた代行者を探すよりも、それを待ったほうが早い……という。結果としては、雛菊さまは死なずにいたので新たな代行者が生まれる事無く、雛菊さま自身が帰還するまで春は失われてしまったわけですが。

 一方、冬の里はその後も雛菊さまの捜索を続けていましたが、これも5年後に打ち切りとなってしまいます。最も、大規模な人員を動員しての捜索をやめたのであって、捜索活動そのものを打ち切ったわけではないのですが。五年の捜索に関わらず、雛菊さまの行方は全く掴めないままでしたから、縮小もやむを得ない、ともいえるのかもしれませんが、元はといえば冬の代行者を狙った襲撃であり、それを防げなかった冬の落ち度もあるわけですから、責任放棄といわれても文句は言えないような。

 さくらの、あの全方位に敵意むき出しな雰囲気は、このような経緯があってのものです。春の里は主を見捨てた。冬に保護されて捜索を続けるも、その冬も結局は捜索を打ち切った。元はといえば、事件を防げなかった冬の落ち度でもあるのに。
 以降、さくらは冬の里からも飛び出し、消息不明となります。たった一人で雛菊さまの捜索を続けていた、というわけです。

 そうして、誰からも見捨てられてしまった二人の少女は、今、自分たちを見捨てた全てに向けて春を贈っている。
 第一話とは、つまりそういう話でした。 ちなみに。事件当時の年齢を計算すると、狼星さまは10歳、

 ちなみに。事件当時の年齢を計算すると、狼星さまは10歳、さくらは7歳、雛菊さまは6歳とみんな子供。子供たちを守るべきだったのだ、と独白していた凍蝶すら、19歳で未成年です。……いや、どないせい、と?その年齢で抱えるにはもろもろ大きすぎるし残酷だろうと思わざるを得ませんね、ほんと……

・冬主従とさくら

 こちらも少しばかり補足しておきましょう。第一話にて、蛇蝎のごとく冬を嫌っていたさくら。そうなってしまった経緯は前述したとおりですが、もともとの関係はそうではなく、むしろ良好なものでした。特に、凍蝶はさくらにとっては護衛官としての師であり、そんな彼女を凍蝶も大変可愛がっていました。
 見ましたか、あのさくらの満面の笑顔。第一話の姿からはなかなか想像つきませんよね。ああいう笑顔を向けるほど、さくらは凍蝶を慕っていたわけです。

 春の里の捜索が打ち切られ、里を追い出されたさくらを保護したのも凍蝶でした。以後、五年間、さくらは冬の里に身を置いていたわけですが、この時もまだ関係は良好でした。当時、狼星さまは雛菊さまが攫われてしまったことに責任を感じ、精神が不安定となるとともに、突発的な自殺を図る傾向にありましたが、これを必死で食い止めていたのが凍蝶であり、さくらでした。そのさくらもまた、失われてしまった主を思い人知れず泣いており、それを見つけて慰めていたのが凍蝶です。そして凍蝶も、狼星さまを支えながら自分の後悔に苛まれる日々であり、その中で同じく狼星のために奔走し、また自分にも寄り添ってくれたさくらの存在は大きな支えでした。冬が捜索を打ち切ったその時まで、三人は同じ痛みを抱えながら、雛菊さまを探し出すために協力し、支えあっていました。

 だからこそ、といいましょうか。慕っていたからこそ、信じていたからこそ、拠り所であったからこそ、裏切られた恨みは深い。
 さくらの心中に渦巻く、あらゆるものに対する怨嗟と憎悪の感情は、冬の件も含め、今後も要所要所で見られると思います。

 そして冬の二人にとっても、さくらの件は、雛菊さまが誘拐されたことと同じくらいに深い傷。狼星さま、全般的に顔色があんまりよくないというか、やつれているような雰囲気がありましたが、あれ勘違いでもなんでもなくて、今現在でも睡眠薬とか手放せなくて、毎日のように事件の悪夢を見ては飛び起きているような状態なんです。そんな狼星さまを支え続けている凍蝶も、心の内で春の少女二人に対する責任と後悔を抱え続けていて、主従揃って自罰的な傾向がすごく強い。

・冬の四季歌

 とても楽しみにしていました。大和唯一の男性代行者である狼星さまです。きっと低温の心地よい、さぞ良い声で……声、で……

 ……うーん、聞こえない!聞こえないよ狼星さま!?狼星さまの独白で狼星さまの四季歌聞こえないよ!?
 しかし独白の内容が内容であるだけに、それを無くしてしまえと言えないのもまた事実……あれって狼星さまが、この10年間、何度も発作的に自殺を図りながらも、10年間どういう気持ちで生きてきて……いえ、死なずにい続けた、というほうが近いですかね?後悔と絶望と、自分でも笑ってしまうような絵空事の希望が詰め込まれたものであるわけで……
 くっ、サントラか、サントラを買えということなのか……!!

 と、いうのはひとまず置いておいて。
 ここで注目すべきは、狼星さまが作り出した氷の形。春に振る舞いを、と。凍蝶からも、粋なこと、見事、と称されたそれ。

 あの花々はすべて、春の花で統一されています。
 ここは、ね。もうね!原作読んでほしいんです、原作を!すごくいいから!!
 アニメではかっこよく助けて終わっていますが、原作ではもう少しシーンがあってもうちょっとビターなテイストになっており、それがまた胸にくるんですよ……

 かつて狼星さまは、雛菊さまに花を贈りました。
 冬の代行者の能力、生命凍結で作った、氷の花。
 雛菊さまは、それを大層喜んだとのこと。

 本当は彼女に贈りたかったと、そう思ったものは、言葉だけではありません。
 氷の花々もまた、その一つなのです。

 と、いったところでしょうか。
 冒頭でも言いましたが、冬主従、本当に大好きです。10年間を失意の中で生きてきた二人の物語もまた、悪夢を見るほど待ち望んでいた春の帰還を契機に始まっていきます。

 次回、第三話。タイトルは”片影”。原作の流れを踏襲するなら、次は夏の出番でしょうか?
 春とも、冬とも異なる主従の在り方をしている夏陣営。こちらも大好きな主従です。来週を楽しみに待ちましょう。

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